福岡刑務所の自殺事件で国に勝訴
2016年3月23日、福岡地方裁判所は、福岡刑務所で服役していた男性が自殺したのは、
刑務所側が注意義務を怠ったためであるとして、男性の母親に対して、
3780万円の損害賠償を命じる判決を言い渡しました(3月24日の各紙朝刊にて報道)。
本件は、当事務所の松井仁弁護士が、2013年5月の自殺発生直後から、母親の相談を受け、
福岡県弁護士会の自死問題対策委員会の有志を募って弁護団を結成し、約3年にわたって取り組んできた裁判でした。
この間、刑務所に対する提訴前の証拠保全、裁判での母親の意見陳述、監視カメラ映像の上映、
刑務所医師や看守の尋問などが行われました。
その結果、自殺前日から当日にかけて、男性の言動から自殺の危険性が相当高まっていたこと、
刑務所は監視のためカメラ付き個室に男性を収容していたのに、男性が首にタオルを巻く行動を繰り返していたのを
見落としていたことが明らかになりました。
これらの事実にもとづき、裁判所は「刑務所が男性の監視を怠った過失がある」と判断しました。
この判決が、全国の刑事施設における自殺防止体制の改善につながることを期待します
(なお、国が控訴したため、舞台は福岡高裁に移りますが、今後も勝訴確定をめざして闘っていきます)。